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【イラスト】割れたガラス板の描き方【解説】

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キャラクターが窓ガラスを突き破るシーン、叩きつけられたスマートフォン、SF作品のモニターの破損表現など、イラストや漫画で「割れたガラス」を描きたい場面はたくさんありますよね。

しかし、いざ描こうとすると、「ヒビをどう入れればいいの?」「ガラスの破片ってどうなってるの?」と、意外と手が止まってしまう初心者の方も多いのではないでしょうか。

ガラス片の具体的な描き方については、以下の記事をご覧ください。

本記事では、そんな悩みを解決するため、物が衝突した時にガラスが「どのように割れるのか」という原理(理屈)から、具体的な「描き方の手順」までを、図解を交えながら論理的に解説していきます。

この記事は「ガラス」の割れ方に特化しています。より厚みのある「壁」や「地面」のヒビの描き方については、以下の記事をご覧ください。

【参考】3Dモデルでのガラス板が割れるときの表現

実際のガラスが割れる動画とは別に3D CGソフトのBlenderを利用して、ガラス板に玉や銃弾を衝突させた場合、どのようにガラスが割れるのかを表現している動画がありました。

ガラス板が割れる動画と比べてみても、近い割れ方をしています。(細かいところまでは表現しきれてはいないです。)

あくまで3D CGでの再現なので衝突する物体同士のパラーメータ設定によって割れ方が現実とは異なってきますが、ガラス板が割れる時のイメージとしてはハイスピードカメラの動画を見るよりかは解りやすいので参考にはなると思います。

リアルな割れ方を描くためには、まず「なぜ、どのようにガラスが割れるのか」という物理的な仕組みを理解するのが一番の近道です。

割れたガラス板の描き方

本記事のために割れたガラスのイラストを描く練習をしてみました。補助線も描かずに、動画を見たイメージで線画を描いたところガラスの割れとしては違和感のあるイラストになりました。全体的にバランスの悪いイラストになっています。描き方を再検討してみました。

1.放射状に広がる「亀裂(クラック)」

CLIP STUDIO PAINTの対象定規を利用して、キャンバス全体に補助線を引きました。

衝撃の加わる場所に近いほど、補助線を密にして、離れるほど補助線を粗い間隔で引いています。

実際のガラスが割れた動画を参照してもらうと解るのですが、物体の衝突する部分に近いほど、ガラスが粉々になるほど細かく割れています。また離れれば離れるほど、割れたガラス1つあたりのサイズが大きくなっていきます。

そのため、補助線を中心ほど密にして、中心から離れるほど粗くしています。

補助線を放射と円形にしている理由についてですが、ガラスに物体が当たったときに発生する衝撃の波が放射線状(円形)に伝わっているため、放射と円形で補助線を描いています。

2.亀裂を繋ぐ「同心円状のヒビ」

ヒビについてですが、順番としてまず
①放射線側に大きなヒビが入り、次に②円周側に大きなヒビが入ります。
その後、細かなヒビが放射側や円周側にランダムな順番で入っていきます。

まず、放射側に大きなヒビが入ります。途中から円周側にヒビが入ってきますが、大きなヒビが優先されるため円周側のヒビを貫通して大きなヒビは外側に広がっていきます。

放射側の小さなヒビは後から発生する場合もあるため、円周側のヒビに遮られて、途中で止まります。

貫通させるか途中で止めるかはどちらのヒビが大きいか?で判断するのが良いと考えます。放射側が大きければ貫通させ、円周側が大きければ止める。

ヒビについてですが、綺麗な線で描こうとすると、違和感が発生します。また、「入り」と「抜き」の強いペンで描くと、これも違和感の原因になります。

やや粗めで、「入り抜き」の設定が弱いペンを使用するのが良いと思います。今回はCLIP STUDIO PAINのカスタムGペンを使用しています。

円周側の線は多角形をイメージして線を描いてみるのが良いと思います。しかし、時々円に近いヒビを入れてください。(実際は円のようなヒビが入っていることが多いです。)

ポイント: この同心円状のヒビも、綺麗な円ではなく、少し歪んだり、途切れたりしながら、放射状の亀裂と亀裂を繋ぐように入ります。衝撃点に近い中心部ほど間隔が狭く、外側に行くほど間隔は広くなります。

上記の内容で描いたらこうなりました。

3.ガラスのヒビ描き方まとめ

下記の順で線を描いていくと描きやすくなると思います

  1. 放射状の亀裂を描く
    まず、衝撃点を決め、そこから外側に向かって放射状の亀裂を、大小の長短をつけながら描いていきます。直定規ツールなどを使うと綺麗に描けますが、フリーハンドで少し揺らぎのある線を描くのもリアルです。
  2. 同心円状のヒビを加える(太い⇒細いの順番)
    次に、放射状の亀裂を繋ぐように、歪んだ同心円状のヒビを描き加えていきます。中心部は細かく、外側は広く、を意識しましょう。

背景に色を塗って、ヒビの線画を「階調反転」で白色にすると、白黒画像の時と比べて一気にガラスっぽいイラストに変化します。

反射光を追加してみました。反射光のある面の滑らかさが表現されるようになったと思います。

背景色を調整して、乗算レイヤーを作成し、「白い線の隣に背景色よりもやや濃い色の陰を入れて立体感を出すようにしました。」

最後にガラスが割れる原因となった、物を描き足すことで完成です。

何度か描いていると慣れてくると思います。

次のステップへ:基本に立ち返り、さらに上達する

今回は「割れたガラスの描き方」という具体的な技術をマスターしましたね。

このような「できた!」を一つひとつ積み重ねていくための、効果的な学習の全体像や考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、あなたの学習の「羅針盤」としてご活用ください。

背景に関する参考書籍

イラスト背景・風景の基本から応用的な描き方が学べるおすすめ書籍を下記の記事でまとめています。

漫画やイラストに使用することが出来る背景素材集です。

室内と屋外(主に街中)の背景が掲載されています。

背景素材集にある窓のイラストと組み合わせることで割れた窓ガラスを描くことができます。

自分で背景を描くのが「大変」と思う場合は素材集を活用するのも一つの手段です。

【参考】現実でガラスを割った場合

1秒あたり15,000コマ(15,000fps)でのガラスが割れていく様子を撮影した動画です。

ハイスピードカメラで1秒あたり1000万コマ(10Mfps)でボールがガラス板に衝突した場合にヒビが入っていく様子を撮影した動画です。

防弾ガラスの車に銃を撃った場合にガラスで銃弾を防ぐことが出来るのかをテストしています。

銃弾を撃った後のガラスを正面から拡大表示してくれています。4:02付近