【イラスト】割れたガラス板の描き方【解説】

2020年3月5日

以前、ガラス破片についての描き方を記事にしました。もしガラス破片について興味があるようでしたら上記のリンク先を参照ください。

今回はガラスの破片といった個々の描き方ではなくガラス全体が割れた場合についての解説を行っていきたいと思います。

ガラスの割れ方については、実際に割れたガラスの動画を見たりしてイメージを掴んでから、描くのが良いと思います。

ハイスピードカメラを使用してガラスの割れる瞬間を撮影した動画が何点か見つかりましたので本記事にリンクを貼っています。

壁や地面のヒビの描き方については別記事で解説を行っています。

【参考】3Dモデルでのガラス板が割れるときの表現

実際のガラスが割れる動画とは別に3D CGソフトのBlenderを利用して、ガラス板に玉や銃弾を衝突させた場合、どのようにガラスが割れるのかを表現している動画がありました。

ガラス板が割れる動画と比べてみても、近い割れ方をしています。(細かいところまでは表現しきれてはいないです。)

あくまで3D CGでの再現なので衝突する物体同士のパラーメータ設定によって割れ方が現実とは異なってきますが、ガラス板が割れる時のイメージとしてはハイスピードカメラの動画を見るよりかは解りやすいので参考にはなると思います。

割れたガラス板の描き方

本記事のために割れたガラスのイラストを描く練習をしてみました。補助線も描かずに、動画を見たイメージで線画を描いたところガラスの割れとしては違和感のあるイラストになりました。全体的にバランスの悪いイラストになっています。描き方を再検討してみました。

CLIP STUDIO PAINTの対象定規を利用して、キャンバス全体に補助線を引きました。

衝撃の加わる場所に近いほど、補助線を密にして、離れるほど補助線を粗い間隔で引いています。

実際のガラスが割れた動画を参照してもらうと解るのですが、物体の衝突する部分に近いほど、ガラスが粉々になるほど細かく割れています。また離れれば離れるほど、割れたガラス1つあたりのサイズが大きくなっていきます。

そのため、補助線を中心ほど密にして、中心から離れるほど粗くしています。

補助線を放射と円形にしている理由についてですが、ガラスに物体が当たったときに発生する衝撃の波が放射線状(円形)に伝わっているため、放射と円形で補助線を描いています。

ヒビについてですが、順番としてまず①放射線側に大きなヒビが入り、次に②円周側に大きなヒビが入ります。その後、細かなヒビが放射側や円周側にランダムな順番で入っていきます。

まず、放射側に大きなヒビが入ります。途中から円周側にヒビが入ってきますが、大きなヒビが優先されるため円周側のヒビを貫通して大きなヒビは外側に広がっていきます。

放射側の小さなヒビは後から発生する場合もあるため、円周側のヒビに遮られて、途中で止まります。

貫通させるか途中で止めるかはどちらのヒビが大きいか?で判断するのが良いと考えます。放射側が大きければ貫通させ、円周側が大きければ止める。

ヒビについてですが、綺麗な線で描こうとすると、違和感が発生します。また、「入り」と「抜き」の強いペンで描くと、これも違和感の原因になります。やや粗めで、「入り抜き」の設定が弱いペンを使用するのが良いと思います。今回はCLIP STUDIO PAINのカスタムGペンを使用しています。

円周側の線は多角形をイメージして線を描いてみるのが良いと思います。しかし、時々円に近いヒビを入れてください。(実際は円のようなヒビが入っていることが多いです。)

放射側は基本的には直線を描くようにします。たまに折り曲げたりもしてください。しかし、丸い折曲げは違和感の元です。円周側で止めてしまったヒビがあれば途中からヒビを追加してみたりもしてください。

上記の内容で描いたらこうなりました。

描いている途中で気づきましたが下記の順で線を描いていくと描きやすくなると思います。

  1. 放射側の太い線
  2. 円周側の太い線
  3. 円周側の細い線
  4. 放射側の細い線

背景に色を塗って、ヒビの線画を「階調反転」で白色にすると、白黒画像の時と比べて一気にガラスっぽいイラストに変化します。

反射光を追加してみました。反射光のある面の滑らかさが表現されるようになったと思います。

背景色を調整して、乗算レイヤーを作成し、「白い線の隣に背景色よりもやや濃い色の陰を入れて立体感を出すようにしました。」

最後にガラスが割れる原因となった、物を描き足すことで完成です。

何度か描いていると慣れてくると思います。

【参考】現実でガラスを割った場合

1秒あたり15,000コマ(15,000fps)でのガラスが割れていく様子を撮影した動画です。

ハイスピードカメラで1秒あたり1000万コマ(10Mfps)でボールがガラス板に衝突した場合にヒビが入っていく様子を撮影した動画です。

防弾ガラスの車に銃を撃った場合にガラスで銃弾を防ぐことが出来るのかをテストしています。

銃弾を撃った後のガラスを正面から拡大表示してくれています。4:02付近

背景に関する参考書籍

漫画やイラストに使用することが出来る背景素材集です。

室内と屋外(主に街中)の背景が掲載されています。

背景素材集にある窓のイラストと組み合わせることで割れた窓ガラスを描くことができます。

自分で背景を描くのが「大変」と思う場合は素材集を活用するのも一つの手段です。