【CLIP STUDIO PAINT】ペンタブ手ブレ補正設定ガイド!遅延を減らして快適に描こう

2020年11月10日

デジタルイラストを描く際、アナログとは異なり、描画ソフトにはさまざまなサポート機能が含まれています。

その中でも、手ブレ補正はイラスト制作に欠かせない便利な機能です。
手の揺れを抑え、線画を安定させるこの機能をうまく使うことで、より美しい線を引くことができます。

この記事では、手ブレ補正機能の設定方法やその効果について、数値ごとの違いを詳しく解説します。特に初心者の方が適切な設定を迷わないよう、おすすめの設定値も紹介します。

本記事の内容要約
  • 手ブレ補正の数値を大きくすると、描画遅延が発生する。
    遅延を少なくしたい場合は、補正値を可能な限り少なくする。
    手ぶれ補正0が最も遅延が少ない
  • 手ブレ補正値を20くらいにすると、手ぶれ補正効果が出てくる。
  • 遅延した線を目で追いながら、作業をすると、作業スピードが遅くなるので注意が必要。

CLIP STUDIO PAINTの手ブレ補正機能とは?

手ブレ補正とは、ペンタブレットで線を引く際に、手の揺れによって発生する不安定さを描画ソフトが補正し、滑らかな線を描くサポートをしてくれる機能です。
この機能により、線画のクオリティを保ちながら、安定して描くことができます。

クリップスタジオペイントなら「ウィンドウ」⇒「サブツール詳細」⇒「補正」の中になる、「手ブレ補正」と「速度による手ブレ補正」の項目があります。
手ぶれ補正の数値を大きくするほど、手ブレを抑制しやすくなります。

下図にクリップスタジオペイントのGペンで手ブレ補正の数値を変化させた場合の「手ブレ補正」の効き具合を自作ソフトを用いて比較しました。

手ブレ補正の設定効果を比較
  • 手ぶれ補正100:波線(赤色)のブレがほとんどなくなり線がまっすぐ(青色)になります。ブレをほぼ完全に抑え、非常に滑らかな線になります。主に長い線やシンプルな線を描きたいときに有効です。
  • 手ぶれ補正50:波線が少し水平に近づきます。適度に手の揺れを補正しつつ、描画遅延も抑えられます。特に中程度の安定化が求められる場面で有効です。
  • 手ぶれ補正20:波線に近い形状で少し補正がかかります。線の揺れを若干抑える程度で、遅延もほとんど感じません。より自然に描きたい場合に適しています。
  • 手ぶれ補正0~10:手ブレ補正0~10:補正効果がほとんどなく、ペンの動きがそのまま反映されるため、線の揺れが出やすくなります。

下図では、補正値を変えた際の線の違いを示しています。
赤色の線が実際のペンの動き、青色の線が手ブレ補正による補正後の線です。補正値が大きくなるほど、青色の線は安定して滑らかになり、赤色の線からのブレが少なくなります。

比較するにあたって
  1. ペンタブレットで描画しているときのペンの座標を自作したソフトで記録(ペンの移動については手動で行っています。)
  2. ペンの通った座標をソフトで再現して描画
  3. ペンタブレットとソフトで描画したものを比較し手ブレ補正がどれくらいかかっているのかを見れるようにしました。

補正値が小さくなるほど、補正の効果が小さくなるため、補正ありの線と補正なしの線の見た目が似てきます。
補正10あたりからは補正なしと補正ありでの差が見受けられなくなります。

注:マウスで描いている場合は、入力機器をペンとして認識されていないため手ブレ補正は反映されません。

手ブレ補正を使う上での注意点:遅延とのバランス

手ブレ補正の数値が大きくなると、描画遅延が増します。

下記に手振れ補正を値を変更した場合の遅延時間を比較してみました。
「開始位置」~「終了位置」までペンを移動させた時に画面に反映されていた部分(線)までを比較しています。

測定時間
  • 「開始位置」~「終了位置」までのペン移動時間は0.564±0.022秒です。

※補正値ごとの描画速度、手動描画なので、タイミングについては完璧に合わせることは出来ませんでした。

手ぶれ補正によるペン先からの遅延時間まとめ

例えば、手ブレ補正100に設定した場合、約0.165秒の遅延が生じました。
手ブレ補正が高すぎると、描画のたびにペンと画面上の反応が遅れるため、作業効率が低下する恐れがあります。

多くの人は0.03~0.04秒以内であれば、遅延を感じにくいと思います。

0.03~0.04秒の時間があれば人は変化を知覚することが出来るそうです。ペンタブレットでの場合は知覚より動体視力になっていると下記の記事には少しだけ記載されてます。
ペンタブレットにおける描画遅延に関する詳細は、こちらのCEDECの記事(リンク)で解説されています。
https://jp.gamesindustry.biz/article/1909/19090502/

※上図の「手振れ補正による遅延時間まとめ」については画面内の動きのみを図にしたため、実際のペン先とは更にズレが発生します。

他の描画遅延要因

更に他にも描画遅延要因として考えられるものはペンタブレットデバイス自体の処理時間やディスプレイの応答速度などによって発生します。

遅延が気になりやすい液晶ペンタブレットのディスプレイ応答速度を調べてみたところ下記のようになっていました。

液晶ペンタブレットの応答速度
  • Cintiq Pro 13で30ms
  • Cintiq Pro 16で25ms
  • Cintiq Pro 24で14ms
  • Wacom oneで26ms
  • XP-Pen Artist 13.3、22,24 Proで14ms

液晶ペンタブレットによって応答速度には様々です。

液晶ペンタブレットのディスプレイ応答速度は、描画時の遅延に大きく影響します。応答速度が速いほど、描画と画面上の表示のズレが少なくなり、よりスムーズに作業ができます。

CLIP STUDIO PAINTでの手ブレ補正設定方法

上述の通り、手ブレ補正の数値を大きくするほど、補正をするために処理の時間を要してしまい、手ブレを補正するための処理時間が長くなるので遅延か出ます。

遅延が発生すると、遅延した分だけ待機をする時間も増えてしまうため、結果として作業スピードが遅くなります。

初心者がスムーズにイラストを描きたい場合、以下の設定が適しています。

手ブレ補正0:遅延がなく、スムーズに描画できますが、手の安定性が求められます。筆圧やペンのコントロールに自信がある方におすすめです。
手ブレ補正20前後:初心者にとってバランスが良く、手ブレを抑えながら描画遅延も気になりにくい設定です。

手ブレ補正20以下で設定することで、適度な補正効果を得ながら遅延を抑えることができます。

また、描画に慣れてきたら徐々に補正を下げ、自然な描画に慣れていくことも良い練習になります。

待機による待ち時間を減らして作業スピードを上げるということであれば、手ブレ補正は思い切って「0」が良いでしょう。
その代わり、補正がないため、手ブレが線に出てしまうので、ある程度はペンを上手に動かせるようになっておく必要があります。

遅延を少なくするための工夫
  1. 手ブレ補正の数値を低く設定する:手ブレ補正の値が高いほど処理に時間がかかり、遅延が発生しやすくなります。
  2. 使用するペンタブレットの選択:液晶ペンタブレットの応答速度も遅延に影響します。例えば、Wacom Cintiq Pro 24の応答速度は14msと比較的速く、滑らかな描画が可能です。
  3. 描画ソフトの最適化:ソフト内の不要な処理を減らすことで、描画時の遅延を抑えることができます。

まとめ:CLIP STUDIO PAINTで快適に線画を描くための手ブレ補正設定

  • 作業スピードを重視するなら手ブレ補正の値は「0」に設定しましょう。ただし、ブレが出やすいため手の動きに安定性が必要です。
  • 手ブレ補正20前後が、補正効果と作業スピードのバランスを取る上でおすすめです。
  • 遅延が発生すると作業効率が下がるため、補正値を高くしすぎないように注意しましょう。

線を描くことに慣れてきたら徐々に値を小さくして行くと良いかもしれません。