【社会人】なぜ創作をやめるのか?データで見る原因と、同人活動・イラストを「続ける」ための現実的な対策

「学生時代はあんなに描いていたのに、社会人になった途端、ぱったりと筆を折ってしまった…」 「仕事が忙しくて、同人誌を作るなんて夢のまた夢…」
PixivやX(旧Twitter)を見ていて、素晴らしい作品を作っていた人が、いつの間にか活動を止めてしまうのを見て、寂しく思ったことはありませんか?
これは、決してその人の「やる気」や「情熱」がなくなったからではありません。多くの場合、社会人というライフステージの変化によって引き起こされる、非常に現実的で構造的な問題が原因なのです。
この記事では、実際のデータを基に、なぜ社会人になると創作活動が難しくなるのかを論理的に分析し、その上で、忙しい毎日の中でも「同人活動」や「イラスト制作」を続けるための具体的な対策を提案します。
1,結論:社会人が創作を辞めてしまう最大の理由は「時間の構造変化」
なぜ、社会人になると同人活動や絵を描くのを止めてしまうのか?
最も大きな理由は、自由に使える時間(可処分時間)が絶対的に減ること、そして、仕事によって体力と気力が消耗し、残された自由時間を有効に使うのが難しくなるからです。
同人活動やイラスト制作を社会人になっても続けていくためには、この現実を直視し、戦略的に時間を「捻出」し、「効率化」する必要があります。
2.【データ分析】社会人クリエイターの1日:あなたの時間は何に使われている?
では、実際に社会人の一日はどのように構成されているのでしょうか。以前、X(旧Twitter)のハッシュタグ「#社会人同人者の一日」で多くのクリエイターが投稿していたスケジュールを基に、平均的な平日の時間の使い方を見てみましょう。
かなり前にわきこさんが社会人同人者の一日というハッシュタグで同人をしている人の一日のスケジュールというのを作っていました。
社会人同人者がどんな生活して同人誌を出してるのかめっちゃ気になるので、もし心優しい人がいたらこっそりでいいので是非教えて下さい…!#社会人同人者の1日pic.twitter.com/L0eoONXbxE
— わきこ (@bantowaki) February 18, 2016
ハッシュタグに回答行っていた方たちの中から今回は社会人同人者の一日というハッシュタグに投稿されていたスケジュールから抽出してまとめています。
※休日は基本的にすべて自由時間であるため、あまり参考にならないと考え、今回は平日のみに焦点を当てています。

- 就寝 2:10~ 7:40(5時間30分)
- 出発準備 7:40~ 8:10(0時間30分)
- 通勤 8:10~ 9:20(1時間10分)
- 仕事 9:20~18:40(9時間20分)
- 通勤 18:40~19:50(1時間10分)
- 自由 19:50~ 2:10(6時間20分)
このデータから分かる通り、一日のうち約71%が仕事と睡眠で占められています。仕事時間(9時間20分)は残業が少ないケースであり、実際はさらに自由時間が圧迫されます。
特に注目すべきは、睡眠時間が平均5時間30分と、日本の平均睡眠時間(平成28年社会生活基本調査で7時間40分)を大幅に下回っている点です。
平成28年社会生活基本調査の結果
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/kekka.html

これは、多くの社会人クリエイターが睡眠時間を削って、創作時間を確保しようとしていることの表れです。
睡眠不足の危険性
しかし、そのようにして捻出した時間には、大きな代償が伴います。慢性的な睡眠不足は、心身に様々な不調を引き起こします。
- ストレスの増大
- 疲労が回復しない
- 免疫システムの弱体
- 体重変動
- 血圧の変動
よほど強靭な体力やメンタルの持ち主でない限り、このような生活を続けていると、家に帰っても動画や漫画を見てダラダラと過ごす時間が長くなり、結局は何もせずに寝るという悪循環に陥りがちです。
特に疲労が取れないと、休日でも昼まで寝てしまい、「今日も何も出来なかった…」と自己嫌悪に陥りながら眠りにつく…そんな生活が続きます。
私も一時的にこのような状態になりましたが、仕事は体力だけでなく、精神もかなり消耗させます。 その結果、同人活動を続けるのが大変になり、絵を描く習慣も無くなっていくのです。
3.時間はどう作る?具体的な3つのアプローチ
睡眠時間をこれ以上削るのは危険です。では、どこから時間を捻出すれば良いのでしょうか。
アプローチ①:最大の固定費「通勤時間」を見直す
往復の通勤時間は、人によっては1日の自由時間のうち2時間以上を占める大きな「固定費」です。これを削減できれば、大きな効果があります。
- 会社の近くに住む: 最も直接的な解決策です。 満員電車でなくとも、通勤は体力と気力を消耗させます。 通勤時間を短くすることは、時間を生み出すだけでなく、創作に使えるエネルギーを温存することにも繋がります。
- リモートワークを活用する: もし可能であれば、リモートワークは通勤時間をゼロにできる革命的な選択肢です。
自分で選択が出来る一番簡単な方法は出来るだけ会社の近くに住むことです。
また他にリモートワークが出来る環境にあるならば、リモートワークを行うのが得策です。
はっきりといって通勤時間は同人活動や絵を描きたいと思っている人には無駄でしかありません。
元気な時はあまり気にならないかもしれませんが、満員電車での通勤でなくとも体力とメンタルはやはり消耗します。
出来る限り、通勤時間は短くするべきです。
通勤時間がどのようになっているのか都市ごとの通勤時間をグラフにしてみました。

2013年(平成25年)とデータとしてやや古いですが、総務省統計局が出している3都市圏の通勤時間平均データです。
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/pdf/nihon04-3.pdf
都市としては関東が一番通勤時間が長く、中京が一番通勤時間が平均としては短くなっています。
通勤時間を30分未満の目安はどれくらいか?
通勤30分未満を仮に実現をしようとした場合、東京の場合は
- 自宅から駅:徒歩で800m(10分)以内
- 駅から駅(JR東京~JR品川):9分(8時30分出発)
- 駅から会社:徒歩で800m(10分)以内
というのが通勤30分未満ルートになります。
徒歩1分80mで計算しています。
大阪の場合だと
- 自宅から駅:徒歩で800m(10分)以内
- 駅から駅(JR弁天町~JR大阪駅):9分(8時31分出発)
- 駅から会社:徒歩で800m(10分)以内
となります。
通勤時間では電車に乗っている時間だけに目が行きがちですが、家から駅、駅から会社までの徒歩も含めると、30分未満を実現するためには会社からかなり近い場所に住む必要があります。
会社の近くに住もうとした場合に家賃が問題になる可能性があります。
その場合、築年数が30年以上経過をしていても、内装の壁紙や敷物をリフォームしてくれているのであれば、安くてキレイな部屋に住むことができます。
古い物件は断熱性が低いので部屋やお風呂場が多少寒いというのはあったりしますが、とにかく時間は重要です。
アプローチ②:「食事の時間」を効率化する
意外と時間を使っているのが、食事の準備と片付けです。 特に一人暮らしの場合、自炊を効率化、あるいは割り切って外注することで、時間を生み出せます。
- 時短調理の活用: 電子レンジや調理家電をフル活用する。
- 外食・中食の活用:朝食はカロリーメイト、夕食は帰宅途中の定食屋で済ませるなど、自炊を完全にやめてしまうのも一つの手です。 食材の購入、調理、片付けといった手間を大幅に削減でき、その時間をまるごと創作時間に変えられます。 私も一時期、この方法で時間を捻出していました。
調理家電を使用すると、基本的に食材のカットのみでよくなるため鍋を長いこと見つめている必要がなくなるため時間を捻出することができるようになります。
社会人2年目くらいまでは真面目に夕食を作っていましたが、5年くらい経過すると作るのが面倒になったので駅近くの定食屋で夕食を全て完結させて帰宅していました。
アプローチ③:「作業時間そのもの」を短縮する
通勤や食事の時間を見直しても、まだ時間が足りない…そんな時は、創作作業そのものを効率化する視点が重要になります。
- 便利なデバイスを導入する
- 作画スピードを上げる
- スケジュール管理を徹底する
4.最も大事なこと:続けるためのマインドセット
時間を確保できても、描く習慣が途切れてしまっては意味がありません。
忙しくても、毎日数分でも良いので、絵に触れる時間を続けることが非常に重要です。
1日5分のクロッキーでも、キャラクターの設定を一行考えるだけでも構いません。「創作をする」という習慣さえ維持しておけば、まとまった時間ができた時に、スムーズに活動を再開できます。
5.まとめ
社会人になって同人活動やイラスト制作から離れてしまう最大の理由は、仕事や通勤によって、時間と体力が奪われてしまうからです。
この問題を解決するためには、
- 通勤や食事の時間を意識的に短縮する。
- ツールを活用し、創作作業そのものを効率化する。
- そして何より、毎日少しでも創作に触れる習慣を止めないこと。
これらを意識することで、社会人でも同人活動を続けることは十分に可能です。この記事が、あなたの助けになれば幸いです。
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