絵描き&デザイナー向けおすすめ31.5インチ以上の広色域モニターまとめ【2025】

1.広色域モニターとは?

広色域モニターは、通常のモニターよりも色域が広く、豊かな色彩表現が可能なディスプレイです。

31.5インチ以上のサイズは、画面が広く使いやすいため、絵描きやデザイナーに特に人気があります。

広色域モニターの特徴
  • 色彩の正確さ: 印刷やプロジェクトの色合わせに必要不可欠。
  • 視認性の高さ: 大画面で細部まで確認できる。
  • 用途: イラスト制作、写真編集、動画制作、デザイン作業など。

2.色域と用途:イラストにはどの規格を選ぶべき?

モニターの色域は用途によって選ぶべき規格が異なります。以下は代表的な色域規格の解説です。

2-1.色域の種類

sRGB

特徴:
Webやデジタルコンテンツで最も広く使用されている色域です。

用途:
Webでのイラスト公開や一般的なディスプレイでの表示に対応。イラスト制作においても、特にWeb公開を目的とする場合に最適。

ポイント:
sRGBの色域に対応していれば、Webでの利用には十分です。

AdobeRGB

特徴: Adobe社が提案したプロフェッショナル向けの広色域規格。

用途: 写真編集や印刷物の制作に最適。印刷を目的としたイラスト制作にも適しており、印刷時の色味を正確に再現できます。

ポイント:
sRGBよりも広い色域をカバーしており、鮮やかな色彩表現が可能です。
印刷用途では、AdobeRGB対応ディスプレイが推奨されます。

DCI-P3

特徴: アメリカ映画業界が策定したデジタルシネマ規格。

用途: 映画制作や高品質な映像編集に使用される色域。鮮やかな色表現が必要なデジタルイラストの制作にも活用されています。

ポイント:
カラーフィルムの色域を表現するため、映像作品に適しています。
近年は高性能ディスプレイやスマートフォンにも対応が進んでいます。

Display P3

特徴:
Appleが提案した広色域規格で、DCI-P3をベースにデジタルディスプレイ用途に最適化。

用途:
Webやデジタルコンテンツ制作、Apple製品での写真・動画編集。Web公開を目的としたイラスト制作や、Appleデバイスを使用したイラスト作業に最適。

ポイント:
DCI-P3に近い広色域を持ちながら、ガンマ値2.2やD65の白色点を採用し、一般的なディスプレイ表示に適しています。
Apple製品での色再現を重視する場合に最適です。

2-2.どの規格を選ぶべきか?

Webでイラストを公開する場合 → sRGBがおすすめ

理由:
Webの標準色域がsRGBのため、WebサイトやSNSにイラストを公開するなら、sRGB対応のディスプレイで十分です。

ポイント:

  • sRGB対応ディスプレイは価格帯も広く、初心者が始めやすい選択肢です。
  • 広色域(AdobeRGBやDCI-P3)対応ディスプレイを使うと、色が鮮やかすぎる場合があります。
印刷を前提に作品を制作する場合 → AdobeRGB対応がおすすめ

理由:
AdobeRGBは印刷物で使用されるCMYK色域を再現しやすいため、印刷物で色味を正確に表現したい場合に最適です。

ポイント:

  • AdobeRGB対応ディスプレイは選択肢が少なく、価格も高いのが現状です。
  • 印刷物はディスプレイの色を基に制作されるため、AdobeRGB対応ディスプレイを使うと印刷結果がイメージ通りになります。

補足:
最近のディスプレイ市場ではAdobeRGB対応モデルが減少し、代わりにDCI-P3対応モデルが主流になりつつあります。

しかし、DCI-P3でも印刷物制作に対応可能なケースが多いため、無理にAdobeRGB対応ディスプレイを選ばなくても大丈夫です。

以下のポイントを参考にしてください:

  • 色校正を行うことで、DCI-P3対応ディスプレイでも印刷物に近い色再現が可能です。
  • AdobeRGB対応が推奨される場合でも、予算や現実的な選択肢としてDCI-P3対応モデルを検討する価値があります。
  • 下図はDCI-P98%の領域をカバーしているDELL U4021QWでのAdobeRGBとCMYK領域カバー率を計測した図になります。
    カバー率としてはAdobeRGBが約91%、CMYKEが約96%と緑から青の領域が少し足りていませんが殆どの領域を再現できるレベルにはなっています。
AdobeRGBカバー率
CMYKカバー率
映像制作や高品質な動画編集をする場合 → DCI-P3対応がおすすめ

理由:
DCI-P3は映像制作の標準規格で、映画や動画編集に適した広い色域を持っています。

特に4KやHDR対応の映像ではその効果が顕著です。

ポイント:

  • 映像制作では、カラフルで正確な色再現が求められるため、DCI-P3対応ディスプレイが役立ちます。
  • 最近では多くのハイエンドディスプレイがDCI-P3対応となっており、選択肢が豊富でコストパフォーマンスにも優れています。

補足:
印刷物制作を検討している場合でも、AdobeRGBの代替としてDCI-P3を選ぶことができます。映像制作や印刷のどちらにも対応できる柔軟性が魅力です。

Apple製品と組み合わせ使用する場合やWeb公開を重視する場合 → Display P3対応がおすすめ

理由:
Display P3はDCI-P3を基に設計されており、WebコンテンツやApple製品での表示に最適化されています。
Web公開を目的としたイラスト制作や、Appleデバイスを活用する場合に最適です。

ポイント:

  • Apple製品(Mac、iPhone、iPadなど)を利用したイラスト制作では、Display P3対応ディスプレイが推奨されます。
  • Webコンテンツで広色域を活かす場合に役立ちます。
  • ガンマ値2.2やD65の白色点を採用しており、一般的なディスプレイ用途にも対応可能です。

補足:

  • Display P3はWebやデジタルコンテンツ制作向けに設計されており、特にsRGBより鮮やかな色再現が求められる場合に有用です。

3.モニター選びで押さえるべきポイント

広色域モニターを選ぶ際に重要な点を解説します。

3-1.パネルの種類

パネルの基本種類について
  • IPSパネル
    視野角が広く、どの角度から見ても色や輝度が安定しているのが特徴です。
    発色も鮮やかで、色再現性が求められるイラスト制作に非常に適しています。
    応答速度は他のパネルに比べるとやや遅いものの、静止画を中心とした作業では問題になることはありません。
  • VAパネル
    IPSパネルほどではありませんが視野角が広く、コントラスト比が高いため、黒の表現が得意です。
    色の変化が多少起きやすい点はありますが、写真編集や動画鑑賞などで深い色合いを楽しむには適しています。
    応答速度はTNパネルと同等で、動きのある映像にも一定の対応力があります。
    ただし、色の再現性にこだわる場合は、IPSパネルが優先されることが多いです。
  • TNパネル
    応答速度が非常に速く、ゲームや動画など動きの速いコンテンツに向いています。
    ただし、視野角が狭く、角度によって色や輝度が変化しやすいため、正確な色表現が必要なイラストやデザインには不向きです。
    その分、コストが低く抑えられている点が特徴です。

3-2.表面処理

パネルの表面処理について
  • ノングレアパネル(非光沢パネル、アンチグレア)
    照明がディスプレイに当たっても、画面表面で光が拡散される処理が施されています。
    あまり光が反射されません。
    また、目が疲れにくいためWeb閲覧やイラストを描くなら、ノングレア一択です。
DELLモニター U4021QWノングレアパネル
  • ハーフグレアパネル(半光沢パネル)
    ノングレアよりかは光沢感があるため、画面に光が当たると反射します。
    グレアよりか反射は弱いですが、照明の当たり方によって眩しく感じます。
  • グレアパネル(光沢パネル)
    照明があたると反射します。眩しいです。
    遠くから動画を見るという用途であれば問題ありませんが、Web閲覧やイラストを描くときには照明などの光が邪魔になるため不向きです。
ヘイズについて

ヘイズとは光の散乱度合いを指し示した数値です。

数値が大きいほど、光が散乱することを表します。

光の散乱とは、光がある物体にあたった場合に表面または内部で反射する光が散らばることを指します。

光は物体にあたった場合、透過、吸収または反射が起き、透明な物体でも光があたった場合は僅かですが表面で反射しています。

この時、非常に滑らかな面であれば入射した光と対称(90度)で光は反射していきますが、物体の表面には凹凸のあるザラザラした面では、光は入射角に対して対称に反射せず色々な角度で光が散っていきます。この状態を散乱といいます。

ディスプレイの場合は光を散乱させることでノングレア(アンチグレア)パネルの状態になり、強い光が直接反射をしてこなくなるため、眩しいと感じにくくなります。

目が疲れにくく非常に見やすいディスプレイとなります。

4.イラストやデザインに最適な広色域モニター【おすすめモデル】

10万円未満の広色域モニター

画面サイズ31.5インチ
解像度4K 3,840X2,160 @120Hz
アスペクト比16:9
パネルタイプIPS
表面処理非光沢
色域DCI-P3:98%、sRGB:100%、
表示色約10.7億色(8ビット+ A-FRC)

広色域対応:
DCI-P3 98%、sRGB 100%をカバー。これにより、イラスト制作や映像編集で必要な正確な色再現が可能です。

高い色精度:
工場出荷時にキャリブレーション済みで、ΔE<2を保証。プロフェッショナルな作業環境において、正確な色再現が期待できます。

画面サイズ31.5インチ
解像度4K 3,840X2,160 @120Hz
アスペクト比16:9
パネルタイプIPS
表面処理非光沢
色域DCI-P3:98%
表示色約10.7億色(8ビット+ A-FRC)

広い色域:
DCI-P3 98%に対応しており、鮮やかで正確な色再現が可能です。イラスト制作や映像編集で重要な微細な色の違いを正確に表示します。

高輝度:
最大輝度400cd/㎡を超える性能を持ちます。細かな明暗表現が求められるHDRコンテンツで特に威力を発揮します。

Ergoスタンド:
高さ調整、チルト、ピボットが可能なエルゴノミクスデザインのスタンドを採用。縦型モードで縦長のイラスト制作も快適に行えます。

15万円未満の広色域モニター

created by Rinker
Dell
¥99,912(2025/01/15 00:58:57時点 Amazon調べ-詳細)
画面サイズ31.5インチ
解像度4K 3,840X2,160 @60Hz
アスペクト比16:9
パネルタイプFast IPS
表面処理反射防止, 3Hハードコーティング
色域DCI-P3:98%、sRGB 100%
表示色約10.7億色

IPS Blackテクノロジーを採用:
通常のIPSパネルよりも黒の表現力が向上し、コントラスト比が高く、鮮明な画像を表示できます。写真やイラスト制作で重要な微妙な色調やディテールを正確に再現可能です。

広色域対応
DCI-P3 99%、sRGB 100%、色域をカバーしており、印刷物やデジタルコンテンツの制作においても正確な色再現が可能です。

画面サイズ31.5インチ
解像度4K 3,840X2,160
アスペクト比16:9
パネルタイプIPS
表面処理ノングレア
色域sRGB 99% , Rec.709 99%
表示色約10.7億色

高精度な色再現

sRGB / Rec.709 99%カバー率: これにより、正確な色再現が可能です。

sRGB/Rec.709 カバー率99%: PD3205UAは、sRGBおよびRec.709の色空間を99%カバーし、ΔE ≤ 3の高い色精度を実現しています。

工場出荷時の個別キャリブレーション:

製造時に1台1台が工場でキャリブレーションされており、色差とガンマの精密性が確保されています。これにより、購入後すぐに正確な色再現が可能です。

15万円以上の広色域モニター

画面サイズ39.7インチ
解像度5K 5,120X2,160 @120Hz
アスペクト比21:9
パネルタイプIPS Black
表面処理非光沢および3Hハードコーティング処理
色域DCI-P3:99%、Display P3 99%、sRGB:100%、
表示色約10.7億色(8ビット+ A-FRC)

解像度とサイズの組み合わせ:
40インチの UWQHD+(5120×2160)解像度 により、従来の4Kディスプレイよりも横幅が広く、複数のウィンドウを同時に表示可能です。これにより、イラスト制作や動画編集での作業効率が大幅に向上します。

曲面パネルの快適さ:
2500Rのカーブデザインにより、目の動きが自然になり、長時間の作業でも疲労を軽減します。

広い色域:
sRGB 100%、DCI-P3 98%、Rec.709 100%に対応しており、イラスト制作やデジタルコンテンツ制作において正確な色表現が可能です。

画面サイズ32インチ
解像度3,840×2,160
アスペクト比16:9
パネルタイプIPSパネル
表面処理ノングレア
色域DCI-P3 99%、AdobeRGB 99.5%
表示色約10.7億色

広色域対応:
AdobeRGB 99%、DCI-P3 99%、sRGB 100%、Rec.709 100%、Rec.2020 89%をカバー。
これにより、プロフェッショナルなイラスト制作や映像編集で必要な正確な色再現が可能です。

超高輝度:
最大輝度1,600cd/㎡を超える性能を持ちます。細かな明暗表現が求められるHDRコンテンツで特に威力を発揮します。

高い色精度:
工場出荷時にキャリブレーション済みで、ΔE<1を保証。プロフェッショナルな作業環境において、正確な色再現が期待できます。

まとめ

広色域モニターは、イラストやデザイン制作において、作業効率と成果物の品質を大きく向上させる重要なツールです。選ぶ際は以下のポイントを基準にするとよいでしょう。

1.用途に応じた色域規格を選ぶ

  • Web公開やSNS向け:
    sRGB対応のディスプレイがおすすめ。Web標準の色域に合わせた制作が可能で、初心者にも扱いやすい価格帯が揃っています。
  • 印刷物制作:
    AdobeRGB対応ディスプレイが最適。CMYKに近い色域をカバーし、印刷時の色味を正確に再現できます。
  • 映像制作や鮮やかなデジタルイラスト:
    DCI-P3対応ディスプレイがおすすめ。映画や動画編集に適した広色域で、4KやHDRコンテンツ制作にも最適です。
  • Apple製品やWebコンテンツ制作:
    Display P3対応ディスプレイが最適。Appleデバイスでの正確な色再現やWebコンテンツ制作に特化しています。

2. パネルタイプを選ぶ

  • IPSパネル:
    視野角が広く、色の再現性が優れているため、イラストやデザイン制作に最適。特に「IPS Black」技術を採用したモデルは黒の表現力が向上し、コントラストが高い表示が可能です。

3. サイズと解像度

  • 31.5インチ以上で4K解像度:
    作業領域が広く、細部まで確認しやすい。特にイラストやデザインの細かな部分を扱う場合に適しています。

4. 表面処理

  • ノングレア(非光沢)パネル:
    光の反射を抑えるため、目が疲れにくく、長時間の作業にも適しています。

おすすめの選択肢

初心者には、手頃な価格帯で扱いやすいsRGB対応モデルや、DCI-P3対応のコストパフォーマンスに優れたディスプレイがおすすめです。

プロフェッショナルには、AdobeRGB対応のモデルや、Display P3対応のハイエンドディスプレイが適しています。

適切なディスプレイを選ぶことで、イラストやデザイン制作の質と効率が向上し、より満足度の高い作品作りが可能になります。