等高線塗りの使い方完全ガイド!時短&グラデーションマップ応用も

2019年11月21日

【CLIP STUDIO PAINT】等高線の使い方について

この記事はプロモーションを含みます。

CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)でイラストを描いていると、「もっと効率的に色を塗りたいな」「滑らかなグラデーションを手軽に作りたい」と思うことはありませんか?

実は、クリスタにはそんな願いを叶えてくれるかもしれない便利な機能「等高線塗り」が搭載されています。

この機能を使えば、面倒なぼかし作業などの時間を短縮し、これまでとは違ったアプローチで塗りを進められる可能性があります。

「等高線塗りって聞いたことはあるけど、具体的にどう使うの?」
「本当に作業が楽になるの? どんなことができる?」

そんな疑問を持つ方のために本記事では等高線塗りについて初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

クリスタの「等高線塗り」をあなたのイラスト制作に取り入れ、作業の効率化や表現の幅を広げるきっかけになれば幸いです!

本記事の主な内容
  • 「等高線塗り」とは何か、基本的な仕組みとメリット
  • ツールの場所と種類、基本的な使い方ステップ
  • 【最重要】アンチエイリアスOFF設定の注意点
  • グラデーションマップと連携した応用テクニック
  • 等高線塗りのメリット・デメリット

1.等高線塗りとは?基本的な仕組みとメリットを理解しよう

「等高線塗り」とは、その名の通り、色の境界となる線(色線)をいくつか描くだけで、その線に沿って色が滑らかに繋がるように自動で塗ってくれる機能です。

1-1.等高線塗りの基本的な仕組み(イメージ)

色線で区切られた各領域の色を認識し、隣り合う色線同士の間を自動的に補間して塗りつぶします。

これにより、手動でぼかしツールを使ったり、何色も重ね塗りしたりしなくても、自然な色の変化やグラデーションのような表現を手軽に作ることができます。

主なメリット

大幅な時間短縮:
特に広い範囲を滑らかに塗りたい場合や、複数の色を馴染ませたい場合に、手作業に比べて圧倒的に時間を短縮できます。

均一で滑らかな仕上がり:
手塗りではムラになりやすいグラデーションも、比較的均一で滑らかに仕上げやすいです。

複雑な形状にも対応しやすい:
色線の描き方次第で、ある程度複雑な形状にも色を回り込ませることが可能です。

2.クリスタ「等高線塗り」ツールの場所

2-1.「等高線塗り」のツール表示位置について

まず、等高線塗りツールがどこにあるか確認しましょう。

場所: [ツール]パレットの[グラデーション]ツールを選択し、[サブツール]パレットを見ると、その中に「等高線塗り」というグループ(またはツール)があります。

2-2.デフォルトのツールの種類

通常塗り (等高線塗り):
最も基本的なツール。色線の間を滑らかに塗ります。

イラストを描いていて最も使用頻度が高くなる設定だと思います。

下図のように明暗を付けて色を塗りたい場合などに等高線塗りを用いることで短時間で塗りを仕上げることが可能です。

等高線塗りのサブツールの設定について

等高線塗りのサブツール説明についてはクリスタ公式の説明を参考に作成しています。
等高線塗り(クリスタ公式ユーザーガイド)

黒色
  • 黒を対象にしない:
    黒色を領域として認識はするが、色としては認識しないので等高線塗りの色変化には含めない
  • 黒を対象にする:
    黒色も等高線塗りの対象としてグラデーションを作成する。
  • 黒を描画色で置き換える:
    黒い線を領域として認識し、黒い線に近づくほど描画色として設定をしている色に近づくようにグラデーションになります。
透明色

1色で塗りつぶされている部分に等高線塗りを実施する場合、1色で塗りつぶされた周囲にある透明な部分に対しての設定。

  • 透明を対象にしない:
    透明部分を領域として認識しますが等高線塗りの色変化には含めない。
  • 透明を対象にする:
    透明部分も等高線塗りの対象としてグラデーションを作成する。
  • 透明を描画色に置き換える:
    透明部分は領域として認識するが、色としては認識しない。透明の領域に近づくほど描画色に近づくようにグラデーションになります。
混合率設定

等高線塗りを行った場合のグラデーションの濃度変化を設定することができます。

混合率設定の右端にある矢印を選択することで混合率設定のグラフが表示されます。

3.【図解】これが基本!等高線塗りの使い方ステップ

では、実際に等高線塗りを使ってみましょう。ここでは基本的な手順を解説します。

STEP1:準備(線画レイヤー、新規レイヤー作成)

  1. まず、色を塗りたい対象の線画を用意します。線画レイヤーは参照レイヤーに設定しておくと便利です。
  2. 線画レイヤーの下(または上、用途に応じて)に、色を塗るための新しいラスターレイヤーを作成します。この新しいレイヤーに色線を描き、等高線塗りを適用します。

STEP2:色線を描く(ペン選び、太さ、色の選び方のコツ)

作成した色を塗るための新規レイヤーに、色の境界となる「色線」を描いていきます。

  1. ペンツールの選択:
    Gペンや丸ペンなど、ハッキリとした線が引けるペンを選びます。【重要】この時、ペンツールのアンチエイリアス設定は必ず「なし(OFF)」にしてください。(理由は後述します)
  2. 線の太さ:
    あまり太すぎない方が、仕上がりが綺麗になる傾向があります。塗る範囲や求める効果によって調整しましょう。
  3. 色の選び方:
    影にしたい場所には暗めの色、光が当たる場所には明るめの色、というように、変化させたい色の境界に線を引きます。複数の色を使って複雑なグラデーションを作ることも可能です。

    ポイント: 色線同士が途中で途切れたり、大きな隙間があると、隙間なく塗れなかったりすることがあるので注意しましょう。
    線はしっかり繋げるか、ある程度重ねて描くと良いでしょう。

STEP3:等高線塗りツールで塗る!

色線が描けたら、いよいよ等高線塗りツールを使います。

  1. [サブツール]パレットから「等高線塗り」(通常塗りなど)を選択します。
  2. 色線を描いたレイヤーが選択されていることを確認し、色線で囲まれた内側や、色線と色線の間などをクリックまたはドラッグします。
  3. すると、色線に基づいて自動的に色が塗られ、滑らかなグラデーションのような表現ができます。

どうでしょう?手作業でぼかすよりもずっと速く、綺麗な塗りができたのではないでしょうか。慣れれば数分で複雑な塗りも可能になります。

4.【最重要】等高線塗りの注意点:アンチエイリアスは必ずOFFに!

等高線塗りを綺麗に仕上げるために、絶対に守ってほしい非常に重要な注意点があります。

それは、「色線を描く際のペンツールのアンチエイリアス設定を必ず『なし(OFF)』にする」ということです。

なぜOFFにする必要がある?
アンチエイリアスがONの状態(通常は弱・中・強など)で色線を描くと、線の境界がぼやけて複数の色情報を持ってしまいます。

等高線塗りツールは、この色線の色情報を元に塗りつぶしを行うため、線の境界がぼやけていると、どこまでがその色なのかを正確に判断できず、色が混ざり合わなかったり、意図しない汚い塗りになったりしてしまうのです。

アンチエイリアスがONだった場合の例:
先ほどの画像に使っていた色線を描くときにアンチエイリアスをONにしてから等高線塗りをすると下図のように色がうまくグラデーションになりません。

アンチエイリアスがOFF(なし)の状態で色線を描いてください。

設定の確認と変更方法:
ペンツールの[サブツール詳細]パレットを開き、[アンチエイリアス]の項目で一番左の「なし」を選択してください。

もしアンチエイリアスがONになっているのであれば、ペンツールの設定からOFFにしてください。

この点さえ押さえておけば、等高線塗りは非常に便利なツールになります。

5.【応用編】等高線塗りをさらに活用!グラデーションマップ連携とアイデア集

基本的な使い方が分かったところで、さらに等高線塗りを活用するための応用テクニックやアイデアをいくつかご紹介します。

CLIP STUDIO PAINの素材として配布をされているグラデーションマップなどを使用する場合、最初に等高線塗りを使用してベースを作ります。

①グラデーションマップで劇的変化!美しい空や複雑な色調も簡単に

等高線塗りと「グラデーションマップ」機能を組み合わせると、非常に手軽に美しい色彩表現が可能です。特に空の表現などにおすすめです。

1.グレースケールで色線を描く:
新規レイヤーに、明るいグレーから暗いグレーまで、数段階のグレーで空の明るさの変化を表すように色線を引きます。(アンチエイリアスはOFF)

2.等高線塗りで塗る
作成したグレーの色線レイヤーに、等高線塗りツールを適用します。これで滑らかなモノクロのグラデーションができます。

3.グラデーションマップを適用:

  • 色を塗ったレイヤーを選択した状態で、[レイヤー]メニュー → [新規色調補正レイヤー] → [グラデーションマップ] を選択します。
  • グラデーションマップのウィンドウが表示されます。グラデーションマップの素材をダウンロードしている場合はスパナのアイコンををクリックすると「セット素材を読み込み」するためのウィンドウが表示されるので、素材を読み込みます。

今回は「空の色グラデーションセット」という素材の「成層圏」というグラデーションマップを使用しています。

  • グラデーションマップにある目的のグラデーションをダブルクリックまたは右クリックから「グラデーション設定に適用する」を選択すると下図のようになります。

仕上げ:
あとは雲ブラシなどで雲を描き加えたり、夜空の場合は星を描いたりすれば、あっという間に美しい空のイラストが完成します。

この方法は、キャラクターの服の陰影や髪の毛の複雑な色の流れなどにも応用できます。

まずはモノクロで陰影の階調を等高線塗りで作り、その上にグラデーションマップを乗せることで、複雑な配色もコントロールしやすくなります。

6.等高線塗りのココが便利!メリットと、少し注意したい点(デメリット)

等高線塗りのメリットと、使う上で少し注意したい点をまとめます。

メリット
  • 圧倒的な時短効果:
    手作業でのぼかしや複数色での塗り重ねに比べ、作業時間を大幅に短縮できます。
  • 均一で滑らかな塗り:
    手塗りではムラになりやすいグラデーションも、比較的綺麗に仕上げやすいです。
  • 修正が比較的楽:
    色の境界を変えたい場合、色線を修正して再度等高線塗りを適用すれば、比較的簡単に調整できます(元の色線を別レイヤーにしておくとさらに便利)。
  • 直感的:
    色の境界線を引くだけなので、直感的に操作しやすいと感じる人もいます。
デメリット
  • アンチエイリアス厳禁:
    色線にアンチエイリアスがかかっていると、まず綺麗に塗れません。
  • 色線の描き方が仕上がりを左右する:
    意図した通りの塗りにするためには、色線の太さ、配置、色の選び方に少し慣れが必要です。
  • 細かい調整の限界:
    自動で塗る機能なので、非常に繊細な色の混ざり具合や、特定の部分だけの微調整は、手塗りの方が得意な場合があります。
  • 全ての塗りに万能ではない:
    デザイン的なパキッとした塗りや、水彩のような複雑な滲みやテクスチャ表現など、等高線塗りが必ずしも向いているとは限らない表現もあります。
    「使いどころを見極める」ことが大切です。

7.まとめ:等高線塗りを味方につけて、クリスタでの塗りをもっと楽しく効率的に!

CLIP STUDIO PAINTの「等高線塗り」機能、いかがでしたでしょうか?

最初は少しとっつきにくい機能かもしれませんが、基本的な使い方とコツさえ掴めば、イラストの塗り作業を大幅に効率化し、表現の幅を広げてくれる便利なツールです。

  • 色線を引いてツールで塗るだけ! 簡単ステップで滑らかな塗りが可能。
  • アンチエイリアスOFFが綺麗に仕上げるための最重要ポイント。
  • グラデーションマップとの連携で、プロのような美しい色彩表現も手軽に。
  • アニメ塗りの影付けなど、アイデア次第で様々な応用ができる。
  • 全てに万能ではないが、うまく使えば強力な時短の味方になる。

今まで「塗りが苦手…」「グラデーション作るのが大変…」と感じていた方も、ぜひ一度この「等高線塗り」を試してみてください。

新しい発見があり、あなたのクリスタでのイラスト制作が、もっと楽しく、もっと効率的になるかもしれませんよ!