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【Q&A】アニメ絵に「デッサン」は必要?効率重視なら知っておきたい「ハイブリッド模写」という最短ルート

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アニメ絵にデッサンは必要?記事のキャッチ画像

「アニメ絵を描きたいだけなのに、リアルな人体やリンゴをリアルに描く練習なんて意味あるの?」 「そんな時間があるなら、好きなキャラを模写した方が上手くなるのでは?」

この疑問は、イラストを描く人なら一度はぶつかる壁です。 結論から言います。
美大受験のような「本格的なデッサン」は、アニメ絵には必ずしも必要ではありません。

しかし、「立体の構造(ワイヤーフレーム)」を理解しないまま手癖だけで描いていると、パーツが浮いて見えたり(福笑い状態)、少し角度がつくだけで絵が崩れやすくなってしまいます。

この記事では、苦痛なデッサン練習を極力回避しつつ、効率よく吸収する「ハイブリッド模写」という考え方を紹介します。

1.【理由】なぜ「見て描く」力が必要なのか?

「リアルな絵なんて描きたくない」という人こそ、実は「リアル(実物)」の構造を知る必要があります。

なぜなら、プロが描く魅力的なアニメ絵は、リアルな人体情報を脳内で「圧縮(デフォルメ)」して出力されたものだからです。

「記号」を配置するには「土台」がいる

アニメ絵の目は、極端に言えば「大きな丸と線」という「記号」です。

しかし、その記号を配置するための土台となる「顔」は、平らな板ではなく、カーブを描く「立体(球体)」です。

デッサン力がゼロの状態(立体の意識がない状態)で目を描くと、無意識に「顔を平らな紙や板のようなもの」として捉えてしまいます。

正面顔ならそれでも誤魔化せますが、アオリ(下から)やフカン(上から)になった途端に崩壊します。

なぜなら、本当は顔のカーブに合わせて目の形も歪むはずなのに、平らな板に描くつもりで「正面と同じ形の目」を描いてしまうからです。 これが、斜め顔を描いた時に「目の位置がずれる」「福笑いのようにパーツが浮いて見える」ことの正体です。

まずはこの3つで十分!覚えるべき「構造」

「構造」と言われると難しく聞こえますが、アニメ絵を描くために意識すべきなのは、人体を以下の3つの単純な図形に置き換えて見ることです。

  1. 頭・関節 = 「球体」
  2. 胴体・腰 = 「箱(または板)」
  3. 腕・脚 = 「円柱」

【どう描く?】人体を「単純なロボット」だと思って描く

いきなり目や筋肉などの「細部」を描こうとすると失敗します。 まずは、この3つのパーツを組み合わせて、「球と箱と円柱でできたロボット」をイメージして描いてみてください。

「リアルな人間の腕」をアオリ(下から)で描くのは難しいですが、「円柱」をアオリで描くのは簡単なはずです。

単純な図形なら、あらゆる角度から描くことができます。その「単純な図形(ロボット)」を描いた上に、あとから皮や服を着せていくのが、失敗しにくい描き順です。

そして、この「複雑な人体(写真)を見て、脳内で単純な図形(ロボット)に変換する作業」こそが、次で紹介する「ハイブリッド模写」の正体です。

2.【解決策】「ハイブリッド模写」のすすめ

どうすれば「退屈なデッサン」を回避して「構造」だけを学べるのか。 おすすめなのが、実物を見ながらアニメ絵で出力する「ハイブリッド模写」です。

【効率化】写真 × アニメ絵変換

自分の手や、写真集のポーズを見て、それを「そのままリアルに描かない」練習法です。

  1. 見る(入力): 実物(写真)を見て、関節の位置や「円柱の向き」を把握する。
  2. 変換(圧縮): 脳内で「自分の絵柄」や「シンプルな線画」に変換する。
  3. 描く(出力): アニメ絵として出力する。

これなら、「構造の理解(デッサン)」と「手癖の矯正(清書)」が同時にできます。「リアルに描く」のではなく「構造を盗む」ことに特化した、最短ルートの練習です。

【※重要】練習素材と権利について 練習に使う写真は、「自分で撮影した写真(自撮り)」や「商用フリーのポーズ集」、「3Dモデル」を使いましょう。
他のイラストレーターの作品や、権利者のいる写真をそのままトレス(なぞり書き)して公開することは、著作権侵害やトラブルの原因になるため避けてください。あくまで「構造を学ぶ」ために使いましょう。

【今日からできる】1日10分メニュー

理屈はわかっても、続かないと意味がありません。まずはこのサイクルを試してみてください。

  1. アタリを取る(3分): 写真を見て、球・箱・円柱だけでポーズを描く。
  2. 修正する(3分): 写真と見比べ、関節の位置や円柱の向き(パース)のズレを直す。
  3. 清書する(4分): アニメ絵の線画として上から描く。

この「ハイブリッド模写」を習慣化するために、当ブログではこの練習を『2次元デッサン』として整理しています。

【実践例】3Dデッサンの活用

CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)などの「3Dデッサン人形」を使うのも有効なハイブリッド手法です。

3Dモデルをただなぞるのではなく、「アタリ(ワイヤーフレーム)」として使い、その上から筋肉の流れや服のシワを想像して描き込むのです。 これも立派な「立体を意識するトレーニング」になります。

3.「見よう見まね」の限界と、構造を学ぶ意味

正直なところ、イラストを描き始めた当初は「なぜアニメやゲームのような絵を描くのに、堅苦しいデッサンが必要なのか?」が全く理解できませんでした。

「デッサンをやるべき」という言葉を見ても理由はピンと来ず、ひたすら好きなイラストを「見よう見まね」で描く日々が続きました。

しかし、もっと上手に、違和感なくキャラクターを描こうとした時、壁にぶつかりました。
表面上の線を真似するだけでは限界があり、結局は「人体がどのような構造になっているか」を理解しないと描けないことに気づきました。

確かにアニメやゲーム特有の「デフォルメ(描き方)」はあります。 ですが、頭・肩・胸・おなか・腰・足首……といった「パーツの正しい配置バランス」については、やはり人体のデッサン(構造)を学ばないと身につきませんでした。

「リアルに描くため」ではなく「パーツを正しい位置に置くため」にデッサンを学ぶ。 これに気づくことが大事です。

なので、最初は“線を上手くする”よりも、球・箱・円柱でアタリを取るのが近道です。次の10分メニューだけ、まず1週間やってみてください。

まとめ:デッサンを難しく考えず、構造だけを盗もう

結論: アニメ絵に「精密なデッサン」は不要だが、「構造(球・箱・円柱)の理解」はあると非常に有利。

理由: 構造を知らないと、角度がついた瞬間に描けなくなるから。

方法: 実物(写真)を見て、脳内でアニメ絵に変換して描く「ハイブリッド模写」が効率的。

この記事を書いた人
Nao

同人イベント参加10回以上、クリスタ愛用者。 感覚的な説明では分からないことが多かったため、「理屈で考えて描く」を大切にしています。 自身の試行錯誤をもとに、イラストや同人活動の「なぜ?」を論理的に解決、効率的に、楽しく創作するヒントをお届けします。

Posted by Nao