【イラスト】構図・ポーズ・背景に悩んだときの具体的な対策
「イラストを描きたいけれど、全く進まない」「何を描けばいいのかわからない」「構図やポーズが決まらずに手が止まってしまう」。
こうした悩みは、基礎を学ぶ前の初心者や、経験を重ねたクリエイターにも起こるものです。
この記事では、特に基本の勉強不足が原因で発生する描けない状態に焦点を当てつつ、構図、ポーズ、背景の課題を解決するための具体的な方法を紹介します。
1.そもそも描けない原因は?基本を学ぶ重要性
「イラストが描けない」と感じる原因には、いくつかの共通点があります。
その中でも、特に多いのが基本的な知識やスキルの不足です。具体的には次のような要因が考えられます。
1-1.構図やポーズの基本知識の不足
基本知識が不足している状態では、どこから手を付けていいかわからず迷いが生じます。
例えば、「三分割法」や「動きのあるポーズ」を知らないと、画面にキャラクターを配置するだけで時間がかかってしまいます。
1-2.基本形を意識していない
人体や背景の基本的な形を学ばずに描き始めると、途中で「うまくいかない」と感じやすくなります。
1-3.完成品を目指しすぎている
初めから完璧を目指すよりも、ラフや簡易的なスケッチから始めることで、ハードルが下がります。
多くの完成品を作成することで成功体験も生まれるようになります。
2.構図に悩んだときの解決策
2-1.基本的な構図ルールを学ぶ
構図は絵全体の印象を決める重要な要素です。以下の基本構図を覚えると、迷わず描き始めることができます。
三分割法
三分割法は、イラストや写真で構図を作る時に使われる基本テクニックの一つです。
キャンバスを縦と横に3等分し、9つのエリアに分けて考えます。
縦横を3分割し、交点や線上にキャラクターや要素を配置すると、自然なバランスを作れます。
- 縦横の線が交わる4つの交点に重要な要素(主題)を置くと、バランスが良くなり、自然と視線が引き寄せられます。
- 線そのものに要素を合わせることで、まとまりのある構図が作れます。
- 自然なバランスを取りたいときにおすすめ。
- 視覚的なバランスが良い
主題を交点に置くことで、自然で安定感のある構図を作れる。 - 視線誘導がしやすい
縦横のラインが視線を自然に動かし、画面全体を見てもらいやすい。 - プロっぽい印象になる
単調な中央配置を避けることで、より洗練された構図に見せられる。
三分割法の使い方
- キャンバスに縦2本、横2本の線を引いて9つのエリアに分割します。
- 主題や目立たせたい部分を「交点」に配置します。
- サブ要素や背景を「ライン」に沿わせて、全体のバランスを整えます。
この画像では、三分割法を意識してキャラクターと建物を配置しました。
まず、キャラクターの顔を左上の交点付近に置くことで、視線が自然と顔に引き寄せられるようにしています。
また、伸ばした腕が画面中央から右側へ流れるように描いたことで、指先へと視線が導かれ、その先にある建物へと目が移る構図にしました。
背景の建物は右側の縦ラインに合わせて配置しています。これにより、画面全体にバランスが生まれ、左側に大きく描いたキャラクターとの対比で奥行きも感じられるようになっています。
三分割法を使うことで、主題となるキャラクターと補助的な建物が自然に調和し、見る人の視線が無理なく画面内を動くように工夫しています。これを意識するだけで、構図のバランスがぐっと良くなります。
対角線構図
対角線構図は、イラストや写真で画面を斜めのラインで分割し、そのラインに沿って主題や要素を配置する構図のことです。
この構図を使うと、画面に動きや奥行きを感じさせることができ、作品にダイナミックな印象を与えることができます。
- 斜めラインを意識する
画面を左上から右下、または右上から左下に分けるようなラインを考えます。 - 主題をラインに沿わせる
キャラクターや物、背景要素をライン上やその近くに配置して、視線を誘導します。 - 奥行きを作る
対角線に沿って近いものから遠いものへ配置することで、自然な奥行きを表現できます。
- 動きや流れが出る
斜めのラインが画面全体にダイナミックな動きを生み出します。 - 視線誘導がしやすい
ラインに沿った要素が、見る人の視線を画面内で自然に動かします。 - シンプルな構図でもインパクトが出る
斜めの配置だけで、静的な構図よりもインパクトのある画面になります。
対角線構図の使い方
- 画面をイメージの中で斜めに分割する
キャンバスを左上から右下、または右上から左下に分割するラインをイメージします。このラインに沿って主題(キャラクター、物体など)を配置します。 - 主題をラインに合わせる
主役となるキャラクターや物体を対角線上、またはその近くに配置します。視線を引きつけたい部分(例: キャラクターの顔や剣の先端など)をラインの起点または終点に配置すると、視線誘導が強まります。 - 背景や補助要素で流れを強調する
髪の毛や衣服の動き、背景の線(地平線、建物、光など)を対角線に合わせることで、構図全体がまとまります。
この画像では、対角線構図を意識して刀を左上から右下へと大きく配置しました。
このラインが画面全体の流れを作り、見る人の視線を自然にキャラクターの顔へ導けるようにしています。
髪の毛は刀とは逆方向に流れるよう描き、全体に動きとバランスを持たせました。
特に、刀の延長線上に顔を配置することで、キャラクターが主題として際立つように工夫しています。
黄金比構図
黄金比構図は、自然界や芸術作品でよく見られる「黄金比(1:1.618)」を活用した構図のことです。
この比率は人間にとって心地よく、調和の取れたバランスとして認識されるため、イラストやデザインに用いることで視覚的な美しさを強調できます。
黄金比構図では、「黄金螺旋(おうごんらせん)」や「黄金矩形(おうごんくけい、黄金比で分割された長方形)」を使用して、主題や要素を配置することで、自然な視線誘導とバランスを実現します。
- 黄金螺旋を活用する
黄金比を基に描かれる螺旋形状を構図に当てはめ、主題を螺旋の中心または螺旋の流れに沿わせます。
螺旋の流れを視線誘導に活用することで、見る人の目を主題に自然と導きます。 - 黄金矩形でバランスを取る
画面を黄金比で分割し、主題や背景の配置を調整します。黄金矩形の中に主題を置くことで、画面全体に調和が生まれます。 - 自然な視覚美を作る
黄金比は人間が本能的に「美しい」と感じる比率であり、これを構図に組み込むことで作品全体が洗練されます。
- 視覚的な美しさを引き立てる
黄金比の自然なバランスは、視覚的に心地よく感じられます。 - 主題を際立たせる
螺旋の中心や黄金比分割のポイントに主題を配置することで、目立たせたい要素を強調できます。 - プロフェッショナルな印象を与える
洗練された構図を作れるため、作品がより完成度の高い印象になります。
黄金比構図の使い方
1.黄金螺旋や黄金矩形を設定する
キャンバスに黄金比(1:1.618)を基にした黄金螺旋や黄金矩形をガイドラインとして描きます。
黄金螺旋の場合は、螺旋の中心が主題に来るように配置することを意識します。
黄金矩形の場合は、画面を黄金比で分割して、配置の基準として使います。
これらを同時に扱って絵を描きます。
2.主題を黄金ポイントに配置する
螺旋の中心部分、または黄金矩形の分割線やポイント(分割された矩形の端や交点)に主題を置きます。
例: キャラクターの顔や目、構図の中で一番注目させたい部分を黄金ポイント(渦の中心)に配置。
主題の周りの動きを螺旋に沿わせたり、矩形の中に収めることで視覚的なバランスが取れます。
キャラクターを描きやすくするために「黄金螺旋と黄金矩形」の画像を上下反転させました。
螺旋の中心にキャラクターの顔を配置することで顔を注目ポイントとしました。
矩形の画像右側(青点線)にキャラクターを配置するようにしています。
次にスカートを左側の矩形(オレンジ点線)内に螺旋の流れに沿ったようなイメージでスカートを配置するようにしています。
※イラストのバランスを見ながら、黄金螺旋や黄金矩形のガイドに合わせていきましょう。どうしても無理な場合は、おおよそガイドに沿っていれば良いくらいの気持ちで描きましょう。
3.要素を螺旋や矩形の流れに沿って配置する
髪の毛、衣装、背景(光や雲、建物のラインなど)を螺旋の流れに沿わせると、視線誘導が自然に働きます。
背景や副要素を黄金矩形の分割されたエリアに配置することで、画面全体に調和を持たせます。
キャラクターを黄金螺旋に合わせて基本的に配置しているので、背景は黄金矩形(三分割法)に合わせて配置をしています。
螺旋の中心に合うように背景の水平線を配置することで、キャラクターとの一体化した印象を持たせています。
黄金螺旋と黄金矩形(三分割法)でイラストを描きましたが、背景に対角線構図を用いたりすることで、より動きのあるイラストを描くことができるようになります。
2-2.構図練習の具体的な練習方法
- 構図スケッチを日課にする
毎日5~10分、簡単な構図スケッチを描く練習を続けてみましょう。キャラクターや背景の配置を試行錯誤する習慣がつきます。
描く時間を短時間に区切ることで、負担を軽減しつつ効率的に練習ができます。
- 模写で構図を学ぶ
映画やアニメ、漫画のワンシーンを模写し、どのようにキャラクターが配置されているかをよく観察してみましょう。
漫画の表紙には見栄えを良くするために様々な構図や技法を使われています。
3.ポーズに悩んだときの解決策
3-1.人体の基本形を理解する
ポーズが描けないときは、まず人体の基本形を学びましょう。特に「棒人間」や「円柱の組み合わせ」で人体を構成する練習が有効です。
3-2.効果的な練習方法
- ポーズ集の活用
市販のポーズ集や無料素材を使い、色々な角度や動きのポーズを模写しましょう。
- 3Dツールの利用
CLIP STUDIOの3Dデッサン人形や「Design Doll」を使うと、自由な角度やアングルでポーズを確認できます。
- 模写を繰り返す
模写する際、ただなぞるのではなく「どこに重心があるか」「どの筋肉がどう動いているか」を意識します。
これも毎日5~10分続けることで効果が出てきます。
POSEMANIACSの30秒ドローイングを使って模写の練習をするのも一つの手段です。
4.背景が思いつかないときの解決策
4-1背景の基本を学ぶ
背景の基本は「パース(遠近感)」を理解することから始まります。
難しく感じる場合は、簡単な形状(立方体や円柱)を描く練習をしてみましょう。
4-2.アイディアが浮かばないときは
- 簡単な背景デザイン
グラデーション背景
キャラクターの周りにシンプルな色のグラデーションを追加するだけで、立体感が生まれます。
幾何学模様の背景
丸や四角などの幾何学模様を使うと、デザイン性のある背景が簡単に作れます。
下記書籍では背景が苦手な方や白背景を卒業したい方のために、簡単でシンプルな背景でキャラクターを引き立たせるコツや配置、色使いのテクニックが紹介されています。
- 素材の活用
背景テンプレートやフリー素材を使えば、制作時間を短縮しつつクオリティを保てます。
- 背景とキャラクターの調和を意識する
キャラクターと背景の色調を合わせる。遠景をぼかしてキャラクターを際立たせる。
5.日常的なアイディア収集法
5-1.観察を習慣化する
日常生活で気になった風景や配置を写真に撮り、アイディアの元として保存しておきましょう。
5-2.普段と違うところで絵を描いてみる
静かなカフェや自然の中でリラックスしながらスケッチをすることで、インスピレーションが湧きやすくなります。
まとめ:構図・ポーズ・背景は基本から改善できる!
「描けない」と感じたときこそ、基礎に立ち返ることで問題の解決につながります。
この記事で紹介した方法を取り入れながら、少しずつ自分のスキルを向上させてみてください。
- 構図: シンプルなルールを活用する。
- ポーズ: 人体の基本形を理解し、3Dツールやポーズ集を活用。
- 背景: パースやテンプレートで効率よく描く。
これらのステップを通じて、イラストを描く楽しさを再発見できるはずです!
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